【法話・ことば】自他ともに心豊かに生きることのできる社会

新型コロナウイルス感染で、海外では都市のロックダウンや外出禁止などの強力な対策が行われたにもかかわらず、感染が拡大しました。一方、日本では外出「自粛」や休業・時短「要請」という対策で、爆発的な感染拡大を抑えることができているようです。これは、私たち日本人が「皆で力を合わせて」「自分勝手な行動をしない」「人に迷惑をかけない」という「自制」のきいた行動を自然にとれるからだとされています。

 しかし一方で、感染者に対するいわれのない追及、非難や、医療関係者やその家族に対する差別的な言動が伝えられ、「自粛警察」「マスク警察」と呼ばれる「自制」を受け入れない人に対する非難行動も報道されています。日本ではこのような行動の多くが匿名で行われていて、これは海外では見られないことなのだそうです。

 私たちは、意識しないままに、自分中心にものを考え、人を差別し攻撃するという行動をとってしまいます。しかもその行動傾向は、コロナウイルス感染のような見通しのたてられない困難な状況の中では、増幅され激しくなるのだと言います。少数の人をターゲットにして差別非難する、「不正を正す」と称して攻撃する、などの行動です。

 今回のコロナウイルス感染の中で、私たちが目指す「自他ともに心豊かに生きることのできる社会」の姿をもう一度とらえなおし、自身の行動を見直したいと思います。

 

(この記事は2021(令和3)年2月28日(日)に更新しました。文責は壽福寺住職。)