【法話・ことば】相手の気持ちに寄り添う事

「電話応対コンクール」という競技会の全国大会が11月山口市で開催されます。企業が商品の注文や機器の故障などを電話で受付する際の、受付者の電話応対技能を競う大会です(私も昔少し関わっていました)。ここには、各県大会を勝ち抜いた、銀行、保険、運輸、製造業など様々な業種の電話受付のプロが集います。受付者には、お客様に満足いただくため多くの技能(話し方、商品知識等)が必要とされますが、技能以外に大切な事があります。それは「相手の気持ちに寄り添う」心です。相手が何を望んでいるか、何に困っているか、何に怒っているかなど、相手の立場を理解し気持ちに寄り添い会話する事が大切なのです。それが疎かになると自分中心の自己満足で終わる事があるからです。

ただ、相手の気持ちに寄り添う事は難しいものです。他人と接する時、心の奥には己の事ばかりある事に気づきます。しかも自己主張がもてはやされる時代です。しかし、己だけを拠り処とする自己が膨らむ一方で、私の心は幸せで満ちているでしょうか。

  専如ご御門主様は、ご親教「念仏者の生き方」の中で「仏法を拠り処として生きていく事で、私達は他者の喜びを自らの喜びとし、他者の苦しみを自らの苦しみとするなど、少しでも仏さまの心にかなう生き方を目指し、精一杯努力させていただく人間になるのです」と仰っています。真の幸せは、相手の気持ちに寄り添い、己と他人の満足を自分の幸せと感じる事であり、少しでもそれに近づく努力の中にあるのではないでしょうか。 

                  

(この記事は2022(令和4)年11月6日(日)に更新しました。文責は正恩寺住職。)